おじさんになったひと

何年か前の12月の帰り道、初老の男性が2名と若者が1名「来年もよろしくお願いします」をしながら出てきた。お客様らしき人々と分かれた後も彼らは笑顔で和気あいあいと歩いていた。私は自然と彼らの後ろを歩くことになった。若者が「実はぼく今日おじさんになったんです」と言った。あとの2名がえ?どういうこと?と聞いてから、ああ、と合点がいったのを見て若者が続けた。「姉が赤ちゃんを産んで…」彼らは赤ちゃんのことを話しながら駅に向かっていった。私はマンションの玄関へ入ってからも気分がふわふわした。

ああいうふうに話せる上司と部下も在るのだ、きっとたくさん。
人間はきっともっと快適な関係をつくれる。いま歪んでしまったりぐちゃぐちゃに壊れてしまったりどうしようもない関係しかないように見える場所にも、大丈夫になれる可能性がある。あると思う。